福島のお酒が、全国新酒鑑評会で金賞受賞数7年連続日本一を達成!

福島の酒が、全国新酒鑑評会で金賞受賞数7年連続日本一を達成しました!

酒類総合研究所 平成30酒造年度全国新酒鑑評会入賞酒について

これは明治時代から始まった同鑑評会で、同一県の連続記録として史上初となった、昨年の6年連続日本一の記録をさらに更新させた、驚くべき快挙です!

新酒鑑評会で金賞を獲得することの難しさ

昨年の記事でも書いたように、この全国新酒鑑評会で金賞を獲得するのは、簡単にできることではありません。まず、出品する酒は原則一つの酒蔵につき一点のみ。つまり、全国の酒蔵から選りすぐりの最高の一本のみが集められます。今年度は、その数857点。

そのうち成績が優秀と認められた入賞酒は416点。これは出品酒全体の48.5%ですから、集められた最高のお酒から半分程度しか入賞できません。

さらに金賞となると、それら入賞酒のうち「特に成績が優秀と認められた出品酒」のみに与えられる称号です。今回の金賞受賞数は全体で237点。約27.6%となり、最終的には出品酒の4本に1本程度しか金賞にはなり得ないのです。この比率は、例年ほぼ変わりません。

日本全国から吟味された、それぞれの最高の酒だけを持ち寄った新酒鑑評会。その金賞受賞数で、福島は7年連続日本一であり、14年間で1位と2位しか獲っていないという圧倒的な実力を示しています。

もはや、ボルドーやブルゴーニュといえばワイン、スコッチといえばウィスキーであるように、「福島と言えば日本酒」という実力を持った名醸造地だといえるでしょう。

【2005年以降14年間の、全国新酒鑑評会における福島県の金賞受賞銘柄数と順位】

2005年(平成17年度)醸造 23銘柄 1位
2006年(平成18年度)醸造 21銘柄 2位
2007年(平成19年度)醸造 17銘柄 2位
2008年(平成20年度)醸造 18銘柄 2位
2009年(平成21年度)醸造 20銘柄 1位
2010年(平成22年度)醸造 19銘柄 2位
2011年(平成23年度)醸造 22銘柄 2位
2012年(平成24年度)醸造 26銘柄 1位
2013年(平成25年度)醸造 17銘柄 1位
2014年(平成26年度)醸造 24銘柄 1位
2015年(平成27年度)醸造 18銘柄 1位
2016年(平成28年度)醸造 22銘柄 1位
2017年(平成29年度)醸造 19銘柄 1位
2018年(平成30年度)醸造 22銘柄 1位

(すべて醸造年度表記のため、今年・令和元年5月17日に発表された結果は、2018年〔平成30年度〕醸造分になります)

各地域ごとの味わいの違い

福島県は、北海道、岩手県に次ぐ広い県土を持っています。同じ県内でも気候風土や食文化が異なり、さまざまな多様性を持つ県です。たとえば、桜の花は県内でも早いところは3月に咲きはじめ、遅いところでは5月になっても楽しめるのです。

福島のお酒もまた同様に、同じ県内とは思えないほどの多様な味わいを持っています。それぞれの地域の文化や個性を生かしつつ、それぞれのお酒が非常にハイレベル!

そこで今回は、各地域ごとの味わいの特徴を大雑把に紹介してみます♪
(あくまでも個人の感想ですので、ご参考程度にお考えください)

【会津】

福島の中でも最も多くの酒蔵を抱える地域であり、福島の酒文化の中心地です。
福島の酒は全体的に米の旨さを感じさせつつも「ふくみ」とも言えるやわらかな香りのベールをまとった、上品な味わいが特徴的です。その中でも会津地方の酒はそれを感じさせるものが多いのです。

末廣酒造さんや宮泉銘醸さんなど、歴史と文化が薫り、新撰組や白虎隊ゆかりの会津鶴ヶ城の城下町である会津若松の酒は、なかでもひときわ上品でバランスのとれた味わいです。
雪のように淡く優しい口当たりと、凛とした気配とを同時にたたえつつ、花々のように可憐で華やか。武家の誇りにも似た芯の強さがありつつ、自然や風流を感じさせるしなやかさと艶やかさ。とても完成度が高いお酒ばかりです。

会津の中でも、会津若松から西に行った会津坂下(あいづばんげ)町や北方の喜多方市では、昔ながらの味わいと同時に、チャレンジ精神溢れた新進気鋭の酒を造る蔵も多く見られます。

南会津、西会津、磐梯町、猪苗代などの会津若松を取り囲む地域は、いずれも「一度飲み始めたらやめられない」ような、軽やかで、しかし後を引く強い旨味が特徴です。冷やして良し、ぬる燗も良し。熱燗も良し、常温でも良し。とても懐の広いお酒ばかり。一口、また一口といつの間にか盃が進み、にじみ出てくるような旨味とともに身体にじんわり沁み渡って、飲んだ人を虜にしてしまいます。

会津地方の金賞受賞蔵

銘柄名 蔵元名
会津中将 鶴乃江酒造(会津若松市)
名倉山 名倉山酒造(会津若松市)
嘉永蔵大吟醸 末廣酒造 嘉永蔵(会津若松市)
会津宮泉 宮泉銘醸(会津若松市)
会津吉の川 吉の川酒造店(喜多方市)
大吟醸きたのはな 喜多の華酒造場(喜多方市)
萬代芳 白井酒造店(会津美里町)
學十郎 豊国酒造(会津坂下町)
國権 國権酒造(南会津町)
開當男山 渡部 謙一(南会津町)
田島 会津酒造(南会津町)
稲川 稲川酒造店(猪苗代町)
榮四郎 榮川酒造 磐梯工場(磐梯町)

 

【中通り北部】

中通り地方は、西を奥羽山脈、東を阿武隈高地に囲まれた県の中心部です。福島市や二本松市、郡山市、白河市など県の主要都市が並んでいます。
中通りの酒も会津の酒同様、心地よいベールのような「香気」をまとっている中で、福島の中でも特に多様性を感じさせます。同じ中通りでも味が全く異なるのです。
ここでは中通りを北部と中部・南部に分け、まずは北部からご紹介します。

県都である福島市の酒は、今回の金賞受賞蔵でもある金水晶。まるでその名の金と水晶が煌めくような味わいが特徴です。華やかながらも、香りという以上に旨味で華やかさを出すようなお酒で、これを焼鳥や餃子などの肉汁と合わせてあげると、口の中で旨味が増幅してほとばしります!

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福島市の南隣にある二本松市は、これも会津同様に歴史ある城下町。この地域のお酒も非常にレベルが高いことで古くから知られており、海外への輸出も何十年も前から行われてきました。
この地域のお酒は、まさに「炊き立てご飯のお酒」と呼ぶにふさわしく、米の旨味をたっぷりと感じさせながらも、非常に洗練された味わいのお酒が多いのです。
さらに冷酒はもちろんのこと、燗酒でさらに本領を発揮するお酒が多いのも特筆すべきところ! 「燗にして美味しい日本酒」などのコンクールでも数々の表彰を得ています。また、昨年インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)で世界一となる「チャンピオン・サケ」の称号を獲得したのは、この二本松の「奥の松酒造」さんです。

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奥の松酒造さんは、今回の新酒鑑評会での金賞獲得で11年連続17回目の受賞となり、福島県内での最多記録となっています。

なお、福島の酒は全般的に『香気』のベールをまとっていることに加え、「雑味を旨味に変えることが得意」という特徴を持っています。
原料となるお米の中で、酒造りにとって本来「雑味」とされて嫌われやすい部分すらも、醸造の中で「旨味」や「個性」としての味わい深さに変えてしまう、魔法のような技術。マイナスになるはずだった要素を、プラスへと逆転させてしまうのです。これこそが、福島の酒は鑑評会酒のみならず、普段から飲まれている「普通酒」までもがやたらと旨い! といわれるゆえんでしょう。
二本松のお酒は、この技術に特に長けていて、県内外に根強いコアなファンを多数抱えています。会津と並び、福島県の酒を語る上で欠かせないのが二本松です。

中通り(北部)の金賞受賞蔵

銘柄名 蔵元名
金水晶 金水晶酒造店(福島)
奥の松 東日本酒造協業組合(二本松市)

 

【中通り中部・南部】

中通りの中央に位置する郡山市のお酒は、酒蔵によって大きく特徴が異なります。
全般的に「芳醇辛口」といえる味わいですが、北西部にある渡辺酒造本店さんの「雪小町」は、芳醇な味わいの中にも非常にクリアな、清廉とした味わいを感じさせます。

一方で、同じ郡山市内のたに川酒造さんや笹の川酒造さんは、フルオーケストラのようなダイナミックさを感じさせる、フルボディのお酒。複雑で重厚な味わいを見事に調和させた芸術品です。
県の南西部、南会津町と隣接する天栄村は、村にある二つの酒蔵が今回いずれも金賞を獲得しています。
「廣戸川(ひろとがわ)」の松崎酒店、「寿月(じゅげつ)」の寿々乃井酒造店、それぞれ独特の香りとコク、口当たりが楽しめます。香りと味わいが強いにも関わらず、身体に沁み入るかのようにするすると溶け込んでいく。その魅力は幻想的ですらあり、私も個人的に愛してやまない銘酒です。

県の南部、白河市を中心にしたお酒は、キレのある淡麗な味わいが特徴的。その上で、特に最近は熟成感を持たせ複雑な香味を醸し出したお酒を中心に、新しい味わいの酒の数々も人気があり、首都圏などで着実にファンを増やしています。山のお酒ながら海産物への相性も抜群で、飲み飽きない旨さがあります。

中通り(中部・南部)の金賞受賞蔵

銘柄名 蔵元名
雪小町 渡辺酒造本店(郡山市)
さかみずき たに川酒造(郡山市)
寿々乃井 寿々乃井酒造店(天栄村)
廣戸川 松崎酒造(天栄村)

 

【阿武隈高地】

中通りと浜通りの中間である阿武隈高地は「東洋一の鍾乳洞」といわれる「あぶくま洞」がある里山地域で、石灰岩層が広がっています。
この地域で磨かれた良質な水は、魅力的なお酒の数々を生み出しています。

「滝桜」でも有名な三春町、佐藤酒造さんの「三春駒」は爽やかな酸味と瑞々しい味わい、旨味をバランス良く整えた銘酒で、今回の鑑評会も含めて金賞受賞の常連蔵です。

田村市の「あぶくま」、平田村の「若清水」、古殿町の「東豊国」も、それぞれふんわりと軽く柔らかい口当たりや、強めに感じさせる米の旨味など他には感じられない個性を、阿武隈高地南部の矢祭町「南郷」は福島県内きってのキレの良さとクセになる魅力を持っています。

いずれも地元で愛される「地酒」であり、こうした一つ一つの蔵元の個性とレベルの高さが、福島の酒の躍進には欠かせない要素だといえるでしょう。

阿武隈高地の金賞受賞蔵

銘柄名 蔵元名
あぶくま 玄葉本店(田村市)
三春駒 佐藤酒造(三春町)
東豊国 豊国酒造(古殿町)

 

【浜通り】

太平洋の海の幸豊かな浜通りのお酒は、当然ながら海の幸との相性が抜群です!
特に福島県沖は、暖流である親潮と寒流の黒潮がぶつかる世界有数の漁場で、豊富な餌を食べ、海流の渦に揉まれて育った「常磐もの」と呼ばれる非常に美味しい魚がたくさん獲れます。

「常磐もの」の中心は、スズキ、マゴチ、メバル、ヒラメ、ソイ、真鯛、ヤナギカレイなどの白身魚。それらに加えて、カツオやサンマ、メヒカリなどが好んで食べられています。

四家酒造さんなどこの地域の酒の特徴は、キレの良さでニオイを切るというよりも「豊かな味わいでニオイを旨味へと変換してしまう」という、いわば「足し算の魅力を追及」したような懐の深いお酒が多く見られます。
これは「常磐もの」に多い、繊細で淡泊な白身魚の旨味をじわじわと引き出す一方で、カツオのようなニオイの強い魚にも同時に合わせられるように醸されています。

「魚介類にはキレのあるお酒」が一般的な中で、この地域のお酒を試してみると、その新しい魅力に驚くかもしれません。

まとめ

今回は、福島の全国新酒鑑評会金賞受賞数7年連続日本一を記念して、福島のお酒の地域ごとの特徴をザックリと紹介してみました!

もちろん、お酒の魅力は鑑評会の成績がすべてではありませんし、ここに書ききれなかったお酒や、それぞれの個性もまだまだたくさんあります。

福島のお酒は、まさに黄金期を迎えています。いま、この時代、この時だからこそ味わえるものが、ここにあります。
この機会を逃すことなく、魅力とバラエティあふれるお酒を味わいに、ぜひ福島までお出かけくださいね!