林 智裕
林 智裕

究極のアンコウ鍋「ドブ汁」強烈な名前だけど最高に旨い。

いわき観光

福島に、冬がやってきました♪

冬も美味しいものはたくさんあるとはいえ、代表的な味覚と言えばアンコウ鍋! 夏場には深海深くに引きこもっているアンコウは、冬になると比較的海面から浅い地域まで上がってくるそうな。

西日本ではフグを良く食べると聞いてはいるものの、(それはそれで羨ましい)東日本、とりわけ茨城県~福島県沿岸では、昔から圧倒的にアンコウが食べられていて、「西のフグ鍋、東のアンコウ鍋」などとも言われている?らしいのです。

ちなみに、このアンコウ鍋が最も盛んに楽しまれているのは茨城だったりします。

え?じゃあ何で福島のグルメでアンコウを語るの??と言われれば、今回はアンコウ鍋の中でも、特に福島県いわき市と隣接する北茨城市発祥といわれ、福島を含めたこの近辺で特に親しまれている食べ方を紹介したいからなんですねー。旨いものには国境なんてないんです!!(や、正確には県境だけどね……)

しかし、他の地域ではアンコウを食べたことが無い人も結構いるとのこと??なんと勿体ない……。

全国的にはいまいち魅力が伝わっておらず、マイナーな扱いをされがちな不憫な子、アンコウ。確かに見た目は悪い。その上捌き方も吊るし切り?と何だか難しそうで取っつきにくい。まあ、初心者には若干ハードル高いかも知れないですね……。

 

でも、アンコウは美味しいんです! ちょっと不器用でPRが下手というかコミュ力が足りないだけで、しっかり向き合えば判ります!!相手の魅力を引き出すためのコミュニケーションが大切なんです!
面倒臭そうな「吊るし切り」自体も、アンコウという特別な魚に許された、アンコウに歩み寄り解り合うための儀式みたいなものというべきでしょう!

しかし現実には、そんなアンコウの気難しさやコミュ力の低さには必ずしも歩み寄って貰えるとは限らず。地元民の一部からは大物でなければ哀れにも、吊るされること無く問答無用にゲシゲシと叩いて捌かれてしまうこともしばしば、らしいのです。ギャフン。

あ、でもスーパーとかではどちらにしても捌いたあとのパックで売ってますからね。消費者にとってはコミュニケーションとか一切関係なかったですね。スイマセン(´・ω・`)ノシ

 

“幻の鍋” とも呼ばれるアンコウを使った絶品鍋とは

前置きはともかく、肝心の味にいきましょう♪

アンコウは、その見た目に反して繊細な風味を持ち、引き締まったプリップリの小気味良い歯ごたえとじわじわ広がる旨味を備えた極上の白身魚。しかも捨てるところが無い魚と言われるほどで、部位ごとに多彩な味わいを楽しませてくれるトリックスター。こやつがまた、引き出しが多いヤツなのですよぅ♪

参照:糸魚川荒波あんこう

 

その中でも一際華があるのは、「海のフォアグラ」との異名を持つアン肝。特に上物のアン肝はその名に違わず、霜降り和牛の旨味脂をペーストしたかのように風味豊かでコッテリ、濃厚。香りも立つ。舌に絡みつく味わいは正にフォアグラに勝るとも劣らない、強烈な旨味の塊!おくさま、フォアグラですってよ、フォアグラ!旨いに決まってるじゃないですか!

 

アンコウ鍋の味付けは一般的な醤油味、味噌味なんかも当然美味しいのですけどね、今回紹介したい北茨城~福島県浜通りを中心に親しまれている食べ方は、またちょっと特別なのです。

水を足さず、具材のアンコウと野菜から出る水分にアン肝を溶かし込んで作る特製の鍋。さっきの例えで言えば、いわばフォアグラソース仕立てのスープです。東日本の冬場の贅沢の極みともいえるこの名物鍋。

 

その名も、ドブ汁!!

 

 

こういう、贅沢な美味しさを体現して食欲をそそらせるにはどうかなー……と思えるネーミングセンスにも、安定のPRへたっぴ地域ならではの味わい深さが滲み出てるかのような。うーん、味わい深い。この際、その味わい深さも一緒に煮込んで美味しく食べてしまいましょう。

 

ついでに、アンコウの身の中でアン肝と並び特にお楽しみとされているのが、独特のゼラチン質の歯ごたえがコリコリと美味しい高級部位。その名も「キョロキョロ」!

……やはりネーミングセンスは味わい深いので、これも一緒に煮込んで食べてしまいましょう。こっちは実際、物理的にも煮込めますし本当に美味しいし……。

まあでも、それらも含めての食文化。そもそも私がとやかく言う筋合いなどないのです。

 

ドブ汁とぴったりの熱燗はコレ!

という訳で、冬の絶品料理が食べられる季節になった訳ですが、鍋に合わせるお酒といえば、やっぱり日本酒。今回の飲み方は、せっかくなので温かい鍋と相性が特に良い、熱燗をオススメしたいのです。

世間一般での日本酒の嗜み方として冷酒が最近の流行ですけれど、燗酒も意外と良いのですよー? いわば、お酒のもう一つの顔を引き出すようなものなのです。一粒で二度美味しい!

とは言え、どんなお酒でも燗が合うかと言えば、そうでもなくてですね。たとえば香り高さが身上の吟醸酒では特有のフルーティな香りが消えてしまうし、切れ味鋭い淡麗辛口が持ち味の酒では、下手をすると麗しさが消えた淡いだけの辛口にもなりかねなかったり。(もちろん、それらの定説を覆す酒もあるんですけどね)

そこで今回おすすめしてみるのが、福島県内でも特に、古くからの城下町である二本松市の酒。二本松の酒は炊き立てご飯のような旨味が特に引き立ち、それでいながら飲み飽きない味わい。「次の一杯」がついつい進みやすいお酒が多いのです。

冷やでもしっかりと美味しい上に燗酒にしても味が壊れず、むしろ旨味がジワジワと引き出され続ける、実に芯の強い酒。元々が「炊きたてご飯のような旨さ」が特徴の酒を温めて美味しくなるのは、当然と言えば当然かもしれませんね-。なお、燗酒にするならば特に、精米歩合を高くし過ぎないお酒。米そのものの旨さが残る純米酒や本醸造などがおすすめです。

二本松の酒は、年齢層を問わず、地域も県内外も問わず。それどころか海外にまで根強いファンがたくさん。たとえば「大七酒造」のお酒などは、昔からアメリカなどにも輸出されていて、現地では「BIG Seven」の愛称で親しまれているのだとか。(アメリカ在住の友人が、現地で購入した大七酒造のお酒を楽しんでいるのも見ました。)大七があって、良かった。

「奥の松酒造」も、金賞受賞常連蔵。過去には、カーレースのFormula Nipponなどの勝利を祝うシャンパンファイトには、この酒造の純米大吟醸プレミアムスパークリングが使われた実績まであります。
味も確かで、私の知人の中には「酒は奥の松しか呑まない」なんて言って憚らない人までいるほど。お手軽なものとしては、たとえばここの本醸造「サクサク辛口」などは価格が安く県内どこでも手軽に買いやすいのに、旨味とキレのバランスが良く、燗酒にしても絶品。ふぐひれ酒やイワナの骨酒などにしても、非常に良い相性を誇ります。

ほぼ地元の二本松だけで消費されつくされる「千功成」も、小さい蔵ながら非常に美味しいお酒を造っています。逆に、美味しすぎるからこそ、地元以外にはほとんど不出の、マニア垂涎の地酒。大手の蔵元に引けを取らない地酒です。私もときどき買いに出かけます。

最後にもうひとつ。「人気酒造」は、こちらも全国新酒鑑評会金賞受賞蔵です。伝統的な製法で手造りの吟醸酒しか造らないこだわりの酒造。……なのですが、ちょっとモダンで小洒落れたお酒を出しています。ステキ。

なお、出しているお酒はすべて吟醸なので今回の燗酒というよりは、冷酒がおすすめかもしれませんね。この酒蔵では、ウルトラマンの怪獣たちが造ったお酒なんてのも出しています。地球侵略、純米総攻撃、ダダの梅酒、キングジョーの柚子酒、ケムール人の挑戦、などなど。子どもの頃にウルトラマン大好きだった私には、超胸熱です。(笑)

▲赤・白ワインもあります▲

 

まとめ

と、いうわけで。福島の酒は全国新酒鑑評会金賞受賞数5年連続日本一!が自慢の一つですが、同じ県内でも各地域ごとに味の特徴がかなり違うことも自慢です。

異なる個性を持ちながらもそれぞれのレベルが高いことが福島県全体の金賞受賞数を支えていて、利酒が特に楽しい県だったりするのです♪ たとえば今回お話した二本松の酒と会津の酒、郡山の酒、福島市の酒、それぞれの燗酒の違いを比べてみると、たくさんの発見があるはず。

そうそう、言い忘れてました。燗酒はできれば、盃のような底の浅い酒器で愉しむと、その魅力がより味わいやすいですよ♪ あとは、人肌燗やぬる燗、熱燗など温度を変えながら飲んでみるのもオツなものです。試してみてくださいね。

温かくやわらかな米の旨味が引き立つ酒を、心にまで沁み入るような燗酒で味わいつつ、グツグツと湯気を立てる濃厚なアンコウ鍋を、ハフハフと息をつきながら味わう。

静かに更けていく寒~い冬の夜を、そんなぬくもりで温めてみてはいかがでしょうか。

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