相馬野馬追2015

これぞ日本のサムライ!魂が震える戦国絵巻「相馬野馬追」に圧巻

本格的な暑さを迎えた7月。

2013年、「東日本大震災」で大きな被害を受けた、福島県の太平洋沿岸北部・相馬市/南相馬市にて、1000年以上歴史を誇る国の重要無形民俗文化財、「相馬野馬追(そうまのまおい)」が執り行われました。

世界でも類を見ない「馬のお祭り」なだけに、海外の人が見たら”ラストサムライ!”と興奮するであろう規模。その迫力たるや映画では感じることができない臨場感に加え、タイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。甲冑の重厚な金属音や風を切って走る騎馬武者の様は現代に蘇る“戦国武者”と言っても過言ではありません。

震災後に開催中止をしていた時期もありましたが、今年度は7月25日〜27日の3日間に渡り繰り広げられ、450騎以上の騎馬武者、関係者含め総勢1000人にも及ぶ参加者は、震災前と変わらない規模で行われています。

そんな相馬野馬追に、今回福島TRIP編集部も行ってきました! 現地で感じた大迫力の戦国絵巻・相馬野馬追の模様をガッツリご紹介していきます^^

世界最大規模!1000年以上の伝統、相馬野馬追の歴史

相馬野馬追は、福島県の太平洋沿岸北部・相馬市/南相馬市にて1000年以上続く伝統行事。その起源は鎌倉幕府時代まで遡り、当時一帯を統治していた相馬家の先祖である平将門が軍事訓練として行っていたことが始まりと言われています。

平将門

1952年には国の重要無形民俗文化財にも指定され、毎年7月、3日間に渡り開催されている相馬野馬追は、「馬を追う神事・祭り」を意味しています。何百もの騎馬武者が一同に集う様は、東北地方の東北六大祭りにも数えられ、夏の風物詩の先駆けとまで言われているんですよ! 

本祭りでは甲冑を着た数百の騎馬武者が従者を付き従え、相馬野馬追祭場地まで約3kmを壮大に行軍。祭場地では、梺にある御本陣に神輿を安置した後、若武者達が自身の速さを競う”甲冑競馬”や、数百の騎馬が一斉に神旗と呼ばれる旗を争奪する”神旗争奪戦”が一番の目玉です。

毎年、総大将は藩主の子孫である相馬家の中から代々選出されており、今年は相馬家33代当主相馬和胤さんの長男、行胤さんが務めました。その他、相馬野馬追に参加される人のほとんどが先祖代々受け継いで行われており、実際に参加者が飼育している愛馬や、元競走馬などが含まれます。

また、相馬野馬追前にはPRのため、東京など県外にて出張開催されています。今年は東京の神田祭、ハロー西荻にも出向きました。過去にはアメリカ、イギリス、ロシア、ハワイ、ブラジルの世界6都市へ海外遠征を行っているんですよ!

ハロー西荻

大人の男性だけでなく女性騎手や子供も参加しているなど、世界も注目する相馬市/南相馬市、そして福島が誇る一大イベントでもあるのです!

相馬の街は至る所に”馬”のモチーフがいっぱい!

それでは、相馬野馬追の歴史に触れたところで、当日(26日)の様子をご紹介していきます! 

本祭りは、近隣の県だけでなく日本各地から観光客が訪れるということもあり、我々も朝7時には開催地である南相馬市に到着しました! 駐車場でナンバープレートを見ると、遠路はるばる九州から北海道まで日本各地から観光客が訪れています驚。

それもそのはず、今年は昨年より4000人ほど多い6万3000人もの人が訪れたとのこと!! 開催時間が近づくと行軍するルートが観光客でごった返すことも予想されたので、福島TRIP編集部は、早めに甲冑競馬や神旗争奪戦が行われる祭場に先回りすることにしました。

当日は、交通規制もあるため徒歩で祭場まで向かうのですが、騎馬武者が行軍するルートも相馬野馬追一色!  街の街灯には、それぞれの家紋が記された旗が掲げられ、町の至る所に馬のモチーフがみてとれます。

相馬野馬追1

街灯の上部には駆けている馬^^

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地元銀行の駐車場の門にも馬……!!

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開催まで時間があるためか、参加予定の騎馬武者が観光客を楽しませてくれます。

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それにしてもなんだか戦国時代にタイムスリップしたかのような感覚になっちゃいます。甲冑もカッコイイし、普段見ることのない馬の大きさに驚愕です汗。

相馬野馬追5

そしてこの時間帯だと、騎馬武者もちらほら見ることができます。お願いすれ
ば撮影に付き合って下さるのでオススメですよ!

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さて、祭場が近くなるにつれ、人の多さも増し、既に一部の観光客やカメラマンがスタンバイ状態……! 開催時間は9時30分。7時に到着するのは早すぎたかな……。と少し不安もありましたが、相馬野馬追を最高の場所で眺めるなら早めの到着が吉^^

大迫力の相馬野馬追、騎馬武者の行軍開始!!

各騎馬武者は、それぞれの出身地と神社ごとで全3軍に分けて編成され、旧郷名5つのエリア(宇多郷、北郷、中の郷、小高郷、標葉郷)から祭場となる相馬野馬追祭場地を目指して出陣します。戦国ドラマさながらの壮大な行軍がスタートです。

祭場までの道のり約3kmの沿道には多くの人だかりができ、その勇ましい騎馬武者に夢中になってました!

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前述でもご紹介した行軍ルートでは、それぞれの家紋が記された色とりどりの旗と騎馬武者の掲げている旗差しが相まって、さながらパレード。

ちなみに、騎馬武者の掲げる旗差しは、先祖代々受け継がれているもので非常に貴重なものらしいですよ!

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各騎馬武者の甲冑も色取りや兜にも違いがあります。

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生き物、漢字を象った様々な種類の兜や、騎馬の装飾も色とりどり。一人一人個性抜群です!

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さらには、こんなに可愛らしいちびっ子騎馬武者も♪

なんと今年の相馬野馬追の参加者は最年少2歳、最年長で87歳(!) 老若男女参加しており、女性は20歳以下で未婚の17名が参加したそうです。

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そして、続々と各エリアの騎馬武者が祭場に入場。

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騎馬武者の隊列が本当にカッコイイ!

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こちらは相馬家を受け継ぐ総大将の行胤さん。総大将はカゴのようなものを背
負っていました。このカゴ、後々調べてみると、なんと敵将の首を入れるためのものだそうです……(゜゜

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次々に騎馬武者が祭場に集まり、今から合戦が始まってもおかしくない……。

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相馬野馬追の見どころ!若武者が最速を競う甲冑競馬開始

各騎馬武者が祭場に集まり、山上の御本陣に神輿を安置した後、目玉の一つ甲冑競馬が始まります! 甲冑競馬は、10頭が1周1000mのコースで速さを競う種目。もうこの頃には、疾走コースには多くのカメラマンと人だかりですごいことに笑。

そして、いよいよ若武者達が競う甲冑競馬が始まりました!

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ドンドンドン……。遠くからでも聞こえると馬の駆ける音と共に、猛烈なスピードで横切る騎馬武者達の躍動感。 騎馬武者が全速力で駆ける姿は迫力があり、横切る直前には旗差しの風を切る音が爽快!

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砂塵が舞っている様子は、馬の力強さが一目で分かるはず! 若武者達が己の威信を懸ける形相が目に焼き付きます。

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颯爽と駆ける女性騎馬武者の方も姿も。男性騎馬武者を負かす立派な走りを見せてくれました!

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動画でも撮影してみました。圧巻の甲冑競馬はこちら

相馬野馬追の最後は神旗争奪戦、まるで合戦のような迫力!

そして、本祭り最後の目玉”神旗争奪戦”。神旗争奪戦は、3種類の色のついた神旗を打ち上げ、舞い落ちるタイミングで、騎馬武者が一斉に争奪する種目です。先ほどの甲冑競馬の躍動感とは違った迫力は、まさに現代に残る“合戦”!

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3種類の色のついた神旗は、3軍の所属する「相馬中村神社」が青、「相馬太田神社」が赤、「相馬小高神社」が黄色に分けられており、旗は敵の首にもなぞらえられているそうです。始まりが軍事訓練ということもありその名残が今も残っているんですね。

祭場周辺に轟く音と共に打ち上げられた花火。ひらひらと舞い落ちる神旗を目掛けて、一斉に騎馬武者が争奪戦開始です!

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これだけ見たら、映画で見るような合戦のシーン……。それが目の前で起きて
いる!

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少し遠目ですが、写真中央の赤い色が神旗。それを奪わんと騎馬武者達が一堂に会しています。あまりの激しさに、落馬する騎馬武者もいるほど……!

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見事に神旗を勝ち取った騎馬武者は、神旗を掲げながら本陣山のある山頂に向けて一気に駆け上がります。

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神旗争奪戦が行われている最中、神旗を勝ち取った瞬間に会場から一斉に歓声が上がるなど、騎馬武者と会場がまさに一体。これも相馬野馬追の魅力の一つなんですね。

ちなみに、会場のアナウンスでは、武者の方が救護所に刀を忘れるハプニングや、馬が騎手を乗せずに走り出すなど、会場中が爆笑する一コマも笑。

とはいえ、目の前で行われる圧巻のスケールに終始驚きっぱなし。福島でしか見れない世界最大に相応しい祭事、一度は目にしておくべきです!

まとめ

毎年7月末に開催される相馬野馬追ですが、一時は震災の影響により開催中止をせざるおえない時もありました。 しかし、1000年も続く伝統を守るため、朝早くから鍛錬を続ける努力や何代にも渡って残そうとする相馬の強い意志は並々ならぬものを感じます。

撮影中には県外から毎年訪れてるという老夫婦の方とも知り合い、その魅力を嬉しそうに語る姿を見て、相馬の意志が確かに多くの人を魅了していることが分かりました。日本各地でも、これほど日本古来の武芸を再現した伝統行事は、恐らく相馬野馬追だけでしょう!

世界に誇る「現代の戦国絵巻」を知ってもらうべく福島TRIPはこれからも応援します!

Photo by Sumiyo Matsuoka , Kenta Ito

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