江戸時代から300年伝わる民芸品作りを受け継ぐ集落「高柴デコ屋敷」
日本を代表する民芸品に挙げられる「三春駒」や「三春張子人形」。「高柴デコ屋敷」は、江戸時代から伝わる三春駒や張子人形作りの技を今も受け継ぎ、伝統の“粋”づいている集落です。各工房で制作のようすを見学したり、実際に絵付け体験をすることもでき、たくさんの観光客が訪れています。
高柴デコ屋敷とは?
郡山市西田町高柴にあり、江戸時代から約300年にわたって伝統の技を受け継ぎ、民芸品を作り続けている集落です。
記事後半で、集落内の各工房について詳しくご紹介しますね。
デコ屋敷の「デコ」は「木偶(でく・でこ)」=人形を表し、人形屋敷という意味です。現在、高柴地区は郡山市に属しますが、江戸時代は三春藩領の高柴村であったため、その名残で三春駒や三春人形と呼ばれるようになりました。
三春駒や、木型に和紙を貼りつけて作る張子人形など、数々の郷土民芸品を制作し、販売しています。
青森県の八幡馬、宮城県の木下駒と並び、日本三大駒の一つである三春駒は、昭和29年に十二支の郷土玩具として日本最初の記念切手の絵柄に採用され、「黒駒」は子宝・安産・子育てのお守りとして、また「白駒」は老後安泰・長寿のお守りとして作られています。
デコ屋敷周辺の狭い範囲には神社が点在し、代々ご長寿の方が多いことなどから、パワースポットが数多くあることでも知られています。
近くにある、天神様が祀られた「天神夫婦桜」も有名で、木陰を歩くと女性の願いがひとつ叶うとか、「学業成就」「恋愛成就」の願いが叶うといわれています。
伝統を守り抜く各工房のご紹介
高柴デコ屋敷には、民芸品を制作している4軒の工房のほかに、物産館・茶屋・資料館があり、すべて歩いて周れますので、ぜひ工房巡りを楽しんでくださいね。
車を大駐車場に停め、小高い丘の上に見える「橋本広司民芸」からぐるりと見て周り、最後に「おいち茶屋」で休憩するコースでご紹介します。
橋本広司民芸
主に、歌舞伎舞踊を題材にした人型の張子を作っており、1月~3月には桃の節句に合わせて、張子のひな人形やつるし雛も制作しています。
手作りの制作現場を間近に見ることができ、もしかしたら名物の「ひょっとこ踊り」も見られるかもしれません。
橋本広司民芸
9:00〜17:00 年中無休
024-971-3900
デコ屋敷資料館
県指定重要有形民俗文化財に指定されている各工房の木型や、江戸時代の人形が展示されています。
また、人形ができあがるまでの工程が、わかりやすくパネル表示されています。
彦治民芸
築400年を誇り、一番古くからある茅葺屋根のお店。
こちらでも三春駒や張子の制作を見ることができ、またデコ屋敷の歴史も詳しく教えていただけるので、お店に入ったらぜひ声をかけてみてくださいね。
戦後以降、三春駒を唯一木彫りから制作し続けている工房で、こちらの三春駒が昭和29年に、張子の腰高とらが平成10年に、年賀切手のデザインに採用されました。
十二支張子や絵付け体験教室を、福島県で最初に始めた工房としても知られています。
本家恵比寿屋
高柴デコ屋敷の坂を上ったところにあります。
人々の幸せを願い、人々の喜びを励みとして、主に張子のお面・だるま・十二支などを制作しています。
すべての品を昔ながらの手作りで作っていて、別棟の工房では制作のようすを見ることができます。
本家恵比寿屋
9:00〜17:00 定休日:木曜
024-972-2204
本家大黒屋
三春張子、お面、十二支、だるま、三春駒などを制作しており、各制作工程の見学や絵付け体験ができます。
隣には「古民家資料館」があり、めずらしい張子が展示されているので必見です。
著名人とコラボした作品なども展示されています。
大黒屋物産館
張子や関連グッズ、地域特産品、オリジナル商品など数多く販売しています。
おすすめ商品は「うっかりネコ」シリーズ。ねずみにだまされて十二支に入れなかったネコを、かわいそうに思って張子にしたものです。今ではその人気にあやかって、文房具やストラップも登場しています。
うっかり防止にいかがですか?
色によってご利益に違いがある8色ダルマも人気です。テレビ等で紹介され、話題になっています。
おいち茶屋
デコ屋敷の休憩所的な存在の「おいち茶屋」。店内では、そばなどのお食事をはじめ、ソフトクリームも食べられます。
おすすめは、ざるそばと三春名物のほうろく焼(三角油揚げをこんがり焼いたもの)がセットになった、デコざる(700円)。
ポリフェノールがたっぷり入った「ダッタンそば」を粉末にし、ソフトクリームに練り込んだ「ダッタンソフトクリーム(300円)」も人気。さらにダッタンそばをトッピングして、香ばしさをプラス。冬季はソフトクリームはお休みなので、ご注意ください。
店内には、デコ屋敷にちなんだものや、福島ならではのお土産がたくさん揃っています。
とっておきの話が聞ける「デコ散歩」に参加しよう!
高柴デコ屋敷の職人さんが、人形の歴史や文化を説明し、デコ屋敷内の集落や周辺地区を案内しながら一緒に散歩をしてくれる「デコ散歩」。
所要時間は約2時間。1時間15分で工房や周辺のスポットを周りながら、デコ屋敷の歴史や民芸品の作り方を説明していただき、残りの時間は自由時間です。職人さんに案内をしてもらえる大変貴重な機会ですので、お時間のある方は参加してみてくださいね。
「デコ散歩」は事前予約が必要です。
〈実施期間〉
5月〜10月まで 9:00〜15:00
1日2回限定(午前1回、午後1回の計2回)
〈定休日〉
毎週木曜
〈料金〉
1〜15名 5,000円(税別)
16〜30名 10,000円(税別)
31〜45名 15,000円(税別)
〈申し込み方法〉
デコ散歩参加希望日の14日前までに、デコ屋敷観光協会内予約フォームから お申込みいただくか、電話にてご予約ください。
高柴デコ屋敷観光協会
住所 福島県郡山市西田町高柴字舘野169
電話 024-971-3907
年に一度のお楽しみ「高柴デコまつり」
毎年5月の最終日曜日に開催されるお祭りです。張子のお面をかぶって踊る「高柴ひょっとこ踊り」などの郷土芸能が披露されます。
飛び入りひょっとこ踊り演芸大会や抽選会などが催され、毎年たくさんの人で賑わいます。
まとめ
それぞれのお店で三春駒・三春人形・干支張子を作っていますが、人形に込められた作り手の想いが異なるため、それぞれ表情や形状が違います。ぜひすべてのお店をまわって、お気に入りの駒や人形を見つけてください!