中川 雅美
中川 雅美

飯坂温泉の老舗「なかむらや旅館」で本当の贅沢を知る

福島市観光

温泉だらけの日本列島のなかでも、特に「温泉天国」といっていい我が福島県。筆者の住む福島市内だけでも、土湯、飯坂、高湯という古来の名湯があります。とりわけ飯坂温泉には高級旅館だけでなく共同浴場もたくさんあって、筆者もよく地元のみなさんに交じってお湯に浸かりに行きます。聞けばこのあたり、古い家だと風呂がないのも珍しくないそうで、飯坂ではまさに「源泉かけ流しとともにある暮らし」が営まれてきたんですね。

そんな飯坂温泉の中心に建つ、「なかむらや旅館」にこのたび一泊してきました。

 

ふだん共同浴場に来るたび、「あー温泉の近くに住んでいて幸せ♪」と感じる筆者ですが、お泊りとなるとそれほど頻繁に機会があるわけではありません。今回、東京から旧友2人が訪ねてきてくれたのを機に、ちょっと気になっていたこのお宿を予約してみたのです。

結論から言ってしまいますとね。これが「贅沢」というものなんだな、と心から感じる1泊2日でした。

 

国の有形文化財に登録されている「なかむらや」の建物は、江戸館と明治館に分かれています。江戸館が建てられたのは、そう、江戸時代。元禄元年(1688年)といいますから、今年でなんと築330年! 当初は花菱屋という旅籠だったそうですが、その建物を初代・阿部與右衛門(あべ・よえもん)さんが明治23年(1890年)に買い受け、「なかむらや」として創業。明治館はその後、明治29年(1896)年に増築されたもので、こちらも120年余の歴史が刻まれています。

 

暖簾をくぐって玄関に入ると、囲炉裏、帳場格子、大福帳など、創業当時のままの空間が残されています。ここでまず女子旅一同「わぁ~」(笑)笑顔のすてきな若女将さんに出迎えられた私たちは、囲炉裏端に陣取ってさっそく寛いでしまいました。

奥には5月の節句を前に武者人形が飾ってあり、その説明には「嘉永2年(1849年)」の文字が。

 

日本建築の粋を集めたお部屋

私たちのお部屋は明治館。なんと10畳3間つづきの2階をそっくり1組3人で占有するという贅沢さです。居間として使う一部屋は書院造で、床の間は紫檀・黒檀、床柱には鉄刀木(たがやさん)という銘木が使われています。

 

欄間、ガラス障子、襖……部屋のそこかしこに凝らされた意匠は、決して派手ではありませんが、素人目にもすばらしいものだとわかります。

 

つづく2部屋は、食事室と寝室として使われます。明治館の1階もほぼ同じ造りだそうです。

 

江戸館のほうのお部屋も見せていただきました。廊下を挟んだ左右で4間あります。江戸時代には、一段高くなっているほうに武士が泊まったのだとか。

 

全館の定員は1日3~4組。限られた数の宿泊客を、現在7代目となる阿部家のみなさんが心づくしでもてなしてくださいます。

 

貸切り利用できる2種類のお風呂

このサイズのお宿なので、お風呂は男女別大浴場ではなく家族風呂サイズが2つ。一組ごとに貸切りで利用できます。私たちはまず「寛ぎの湯」へ。こちらはシャワーとカランが付いています。

 

妙齢女子の入浴姿で福島TRIPのページビュー数を稼ごうと、筆者が脱衣場でカメラの設定にモタついている間に、浴室から友人の「きゃー」という声が聞こえてきました。あれ、「飯坂のお湯は熱いよ!」と伝えるの忘れていたっけか(笑)

それでも3人でお湯を揉めばまもなく適温に。飯坂のアルカリ性単純泉は本当に芯から身体が温まり、お肌もしっとり。何度入っても「いいお湯だなあ」と思います。で、妙齢女子の入浴姿はこちらです。↓

 

……失礼しました。

もう一つのお風呂、なかむらや初代の名を冠した「與右衛門の湯」は、シャワーやカランがなく、源泉かけ流しの湯船のみ。飯坂温泉のほとんどの共同浴場と同じスタイルで、これに慣れれば立派な「飯坂通」と言えるでしょう。

 

どちらも脱衣場には女将の手づくりという「どくだみ化粧水」が置いてありました。これ、イイです!時節柄まだ朝晩は少し肌寒く、灯油ストーブをつけた部屋はかなり乾燥していたのですが、これ1本だけでお肌が全然カサカサしませんでした。

 

お風呂上りは、冷水が用意されたお休み処で中庭を眺めながら一服。朝はここでコーヒーサービスもありましたよ。

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